疼痛障害(Pain disorder)は、慢性疼痛疾患または慢性疼痛症候群とも呼ばれ、長期間(通常3~6ヶ月以上)続く持続的または反復的な痛みを特徴とする医学的状態を指します。怪我や病気に対する正常かつ一時的な反応である急性痛とは異なり、慢性痛は予想される治癒期間を超えて持続し、原因が特定できない場合もあります。
疼痛疾患には様々な種類があり、それぞれに特有の特徴や原因があります。一般的な例としては、以下のようなものがあります。
1.線維筋痛症(Fibromyalgia):広範な筋骨格系の痛み、疲労、睡眠障害、認知障害などを特徴とする疾患。
2.複合性局所疼痛症候群(CRPS):通常、四肢に起こり、激しい痛み、腫れ、皮膚の色や温度の変化、運動機能の障害を引き起こす疾患。
3.慢性緊張型頭痛(Chronic tension-type headache):筋肉の緊張や圧痛を伴う、頻度の高い持続的な頭痛。
4.慢性的な背中の痛み:背中の持続的な痛みで、構造的・解剖学的に明確な原因がないことが多い。
5.顎関節症(TMJ):顎の関節とその周囲の筋肉に痛みや機能障害が生じ、顎の動きや咀嚼、会話に支障をきたす。
6.慢性的な骨盤の痛み子宮内膜症、骨盤内炎症性疾患(PID)、過敏性腸症候群(IBS)などの疾患に伴う、骨盤領域の長期にわたる痛み。
7.神経障害性疼痛:神経系の損傷や機能障害に起因する痛みで、銃撃感、灼熱感、電気ショックに似た感覚を特徴とする。
疼痛疾患の治療には、薬物療法、理学療法、認知行動療法(CBT)、リラクゼーション法、生活習慣の改善など、通常、集学的アプローチが必要です。慢性的な痛みを感じている人は、医療従事者と緊密に連携して、その人特有のニーズに対応し、生活の質を向上させることを目的とした個別の治療計画を策定することが重要です。