急性ストレス障害(ASD / Acute Stress Disorder)は、心的外傷を受けた後に発症する可能性のある心理状態です。心的外傷後ストレス障害(PTSD)と似ていますが、心的外傷後1ヶ月以内に発症し、通常より短い期間しか続きません。
ここでは、急性ストレス障害について、いくつかのポイントをご紹介しておきます。
1.定義:急性ストレス障害は、トラウマとなるような出来事を経験したり、目撃したりした直後に起こる様々な症状の存在を特徴とする。トラウマとなる出来事には、実際の死や脅し、重傷、性的侵害などが含まれます。
2.症状:ASDの症状には、トラウマとなった出来事の侵入的な考えや記憶、悪夢、フラッシュバック、出来事を思い出させるものに触れたときの苦痛の感情、出来事を思い出させる場所や状況の回避、ネガティブな気分、他人からの離反や疎外感、睡眠困難、過警戒、集中力の問題などが含まれることがあります。
3.期間:ASDの症状は、通常、トラウマとなる出来事から3日~1ヶ月以内に始まります。ASDの診断基準を満たすためには、最低3日間、最長1ヶ月間持続する必要があります。症状が1ヶ月以上続く場合は、PTSDに診断が変更されることがあります。
4.リスクファクター:様々な要因が、トラウマ的な出来事の後にASDを発症するリスクを高める可能性があります。例えば、トラウマの深刻さ、不安障害や気分障害の個人歴や家族歴、社会的支援の欠如、トラウマ的出来事への過去の暴露などが挙げられます。
5.治療:急性ストレス障害の管理には、早期介入が重要です。治療には通常、認知行動療法(CBT)などの心理療法が用いられ、個人がトラウマ的な経験を処理し、対処法を開発するのを助けることを目的としています。場合によっては、不安や睡眠障害などの特定の症状を緩和するために、薬物療法が行われることもあります。
なお、ご自身やお知り合いの方が急性ストレス障害やその他の精神疾患の症状を経験している場合は、正確な診断と適切な治療を提供できる精神保健医療機関の専門家の助けを求めることが推奨されます。